バッテリ充電台の紹介
充電式ニッケル水素の台頭で充電そして放電時のバッテリ温度管理の重要性が雑誌などで取り上げられる事が多くなりました。以前から僕も充電時にはファンでバッテリを充電するよう心がけていましたが、それでも充電終了時にはバッテリの表面温度が40°程になり気になっていました。夏場、それも野外での充電を考えるとバッテリの温度はさらに上昇すると考えられるのでバッテリ冷却台を作ってみることにしました。
バッテリを充電前に冷蔵庫などに入れて冷やし、それから充電するという手法はあるようですが充電中にずっと冷却しつづける方法が最善なのかは僕はよくわかりません。もしかしたら放電特性を劣化させるかもしれません。放電特性の変化はこれから調べるということにして今回は「バッテリ冷やそー」とい軽いノリでレポートしてます。
ファンで充電中のバッテリを冷却する方法ではなく、今回は以前から興味があったペルチェ素子を使って積極的にバッテリを冷却する方法を採ることにしました。ペルチェ素子は電流を流すことで、素子両面の熱勾配を発生させて接触面の発熱を吸収する性質をもっています。主にパソコンのCPU冷却に使用されることが多いものです。
以前ペルチェは高価でとても買える代物ではなかったんですが、最近では80Wの性能のものが1つ2000円ほどで買えるまでになりました。早速秋葉原で80Wのものを2つ購入。またヒートシンクとファンをジャンクショップで購入(中古品だったのでそれぞれ500円くらいでした)。
これがペルチェ素子。電流を流すことで写真の面が冷却されます。反対の面は発熱するのでヒートシンクなどで効率良く冷却する必要があります。この時点では購入したペルチェの性能がよくわからなかったので、ドキドキ状態。使い物にならなかったら大ショック。。 今回はVmax(最大電圧V):17.5、Imax(最大電流A):8.5、Qmax(低温側最大吸熱量W):80のものをチョイス。サイズは39.6x39.6x3.94 ペルチェ下の黒い物体は別売りのヒートシンクです。 |
早速電源を接続して冷え具合を確認。ペルチェの片面が少し冷たくなってきました、そしてもう片面は熱くなってきました。「いぃ感じ〜」と思った瞬間、両面がかなりの勢いで発熱してきた。「アッチッチ。。」危うくヤケドするとこでした^^;;
もっと緩やかに冷却・発熱するものだと思っていたんですがかなり急激に温度が変化するようです。とにかく今度は落ち着いてヒートシンク&ファンでペルチェの発熱側を冷却しながら電源ON。今度は長時間動作させても問題なし。冷却される面の温度を測定してみました。
あれれ?13.6° 意外に冷たくならないなぁ〜(ちょっと落ち込み。。)。この時の室温は29.0°でした。 | |
一方ヒートシンク表面の温度は49.0°。、かなりヒートシンクは熱くなっていました。写真には写っていませんが、ヒートシンクはファンで冷却しています。 |
印加電圧(V)
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消費電流(ペルチェ2つ分)(A)
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ヒートシンク表面温度
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冷却面の温度
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5.5
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4.0
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36.2
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12.2
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6.0
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4.5
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37.2
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12.7
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7.0
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5.0
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38.3
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13.4
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8.0
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6.0
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40.6
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10.3
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9.0
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7.0
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43.2
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9.9
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10.0
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8.0
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46.1
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12.5
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11.0
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9.0
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48.6
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12.9
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12.0
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10.0
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50.4
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14.1
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最も温度が低くなったのは9.0Vを印加した場合でした。どうやら冷え具合は印加電圧とヒートシンク容量(どれだけ発熱面を冷やせるか)に関係しているようです。以外と消費電流が多いこともわかりました。また、ペルチェとヒートシンクを固定する熱伝導テープの性能もかなり影響するようです。
というわけで今度は容量が大きいヒートシンクと高効率の熱伝導テープを買ってきました(はじめからこれ買えばよかった〜と後悔してます)。
これはヒートシンク二代目。サイズが少し大きくなった。容量は一代目の2.5倍ほど。120角のファンが固定できるネジ穴もあり。この状態で同じように電圧と温度の関係を測定してみました。明らかに性能向上!うれし〜!更なる実験の結果ペルチェの配置も温度に関係することがわかりました。 | |
このように配置するのが一番効率が良い結果がでました。上のように隣り合って配置するとヒートシンク表面の温度が高くなる傾向がわかりました。 | |
電源を投入するとペルチェ表面はこのように凍ってしまいました^^)V |
まずはペルチェに接する部分をヤスリで平らに削ります。紙ヤスリを使ったのでかなり時間かかりました^^;;。4つで4時間くらいかかりました(筋肉痛) | |
さらに不要な部分をカット。4セルバッテリですからね対象は^^ | |
そして熱伝導テープでペルチェに張りつけて完成。 | |
バッテリを置くとこんな感じ。 | |
ヒートシンク下には120角のファンを装着。下から吸い込まれた空気でヒートシンクを冷却します。足もつけてみました。 | |
いずれはこんな感じで温度計を付けてみようと思います。 |
完成したバッテリ台を使って早速バッテリーを充電してみました。その冷え具合は如何に!比較のために冷却なし、ファンによる冷却も試してみました(室温27.7°)
充電経過時間(分) | ファンなし※1 | ファンあり※1 | バッテリ台使用※1 | バッテリ台使用※2 |
0分 | 27.5 | 28.5 | 29.5 | 18.5 |
10分 | 30.7 | 30.9 | 25.9 | 19.3 |
20分 | 32.4 | 31.5 | 24.2 | 20.3 |
30分 | 33.9 | 31.7 | 23.5 | 20.9 |
40分 | 37.8 | 33.4 | 26.7 | 23.4 |
充電終了時 | 45.2 | 39.1 | 32.5 | 28.6 |
※1:バッテリの表面温度を測定
※2:あらかじめバッテリを冷やした状態から充電開始
この結果をグラフにしてみると。。。
やはり、バッテリ台で冷却した効果はあるようです。「バッテリ台使用2」では充電が終了しても熱くないのでちょっと違和感がありました^^;;面白いのは冷却していても30分以降の温度上昇傾向カーブの傾きが変わらないという点です。ちなみに充電容量と放電特性の劣化は今のところは特に見受けられません。
当初はバッテリ表面の温度をフィードバックしてペルチェ電源をON/OFFするリレースイッチを作ったのですがこの実験の結果「不要かな〜?」という感じなので今は装着していません。
またペルチェ素子の電源を逆に付けることで発熱面がバッテリ側になるので、冬場はバッテリウォーマとして使用できるかもしれません(寒くなったら実験してみます^^;;)