Peak VoltとIRの関係

このレポートはPro Trak社がおこなった実験レポートを翻訳・再構成したものです。

プロトラック・バッテリーマネージメントシステムはバッテリーパックのIR(Internal Registance:内部抵抗)を測定していません。これは正確にバッテリーの内部抵抗を測定することが実際には困難であるという技術的な理由によるものです。

しかし我々は充電中のバッテリーの最高電圧(Peak Volt:ピークボルト)とIRに関連があることを見つけました。この時点でこの事実を信じない方もいるでしょう。しかしこのレポートを最後まで読むとあなたはPeak VoltとIRの関連を認識するでしょう。

一般的なRCカードライバーにとってIRはあまり大きな意味を持たないと言えます。IRはその値が小さいほど出力パワーが大きくなると言われています。しかし本当にパワーのあるIRはどのくらいなのでしょうか?IRについては標準というものが無く、知識の無いユーザには難しく感じるものです。

我々はこのようなユーザでも正しくパワーを認識できる値を提供する必要があると考えました。プロトラック・バッテリーマネージメントシステムにはPower%という独自の値が充電中に測定され、表示されます。

Power%は充電中のバッテリー最高電圧(ピークボルト)から算出されます。Ni-Cdバッテリーでは充電中のピークボルトが1.66VのときPower%が100になります。Ni-Mhでは充電中のピークボルトが1.52VのときPower%が100になります。これらの値は我々の実験データによって導かれています。Ni-Mhのピークボルトが1.52V以下であったとき、Power%の値は100以上になります。逆に1.52V以上のとき、Power%は100以下になります。

例:
Ni-Mhのピークボルトが1.65V --> Power%は92%
Ni-Mhのピークボルトが1.47V --> Power%は103% (こちらのバッテリーの方がパワーがある)

同じようにプロトラック・バッテリーマネージメントシステムはパック全体のPower%も計算します。これはパック全体のIRを評価していることになります。また、充電を終えた段階でそのバッテリーのパフォーマンスを予測できるメリットがあります。リモート・リードで各セルの電圧を測定すればどのセルのパワーが落ちているのか、またはパック全体のパワーが落ちているのか判断することができます。

Power%によってパワー指数の判定はわかりやすくなりました。Power%が103のバッテリーはPower%が92%のものよりパワーがあるのです。

それではピークボルトとIRの関連性を検証してみましょう。ここでは kimihiko-yano.net で測定したGP3300のデータ(サンプル数154セル)を使って検証しています。ターボマッチャー4/35はピークボルトとIRを測定します。それぞれをグラフ化してみます。

このグラフで明らかなとおりIRとピークボルトの傾向が一致していることがわかります。

 

下のグラフはIRが低い順に並べ直したものです。IRが上がるにつれ、ピークボルトも上がっていることがわかります。

 

今度はピークボルトが低い順に並べ直したものです。ピークボルトが上がるにつれ、IRが上がっています。

 

次にピークボルトから算出できるIR値(黄色い線)をグラフに加えてみます。ピークボルトから計算したIR(黄)が実際に測定されたIR(赤)に近いことがわかります。

 

それでは次にこのグラフにプロトラック・バッテリーマネージメントシステムのPower%を加えてみます。レポートの始めに説明したようにPower%はピークボルトから算出できます。IRが低いときにはPower%が高く、そしてIRが高いときにPower%が下がっていることがわかります。このグラフよりピークボルトとIRの関係そしてPower%を評価することでバッテリーのパワーを予測できることがわかりました。