ザップド処理の実力を探る
ザップドされたセルは内部抵抗が低くなり、放電平均電圧を向上されるといわれています。ザップ処理はセルに高電圧を瞬間的に与えることでおこないます。今回はザップ処理によってNon-Zapバッテリーの性能がどのように変化するか確認してみました。
テストに使ったのはSANYO 3300HVバラセルで、ヨコモから発売されているZAP処理していないものをチョイスしました。例によってサンプル数が少ないので正確な結果は望めないと思いますので参考までってことで^^;;
1)基礎データの収集
まずは慣らし充放電を日にちを開けて二回実施し、その後データを取りました。ZAP処理する前のデータです、ZAPでどこまで性能が変わるんだろうかo(^^)o
ワクワク
セル番号 | 放電時間 |
放電平均電圧 |
mwhrs | 内部抵抗 | mahrs |
1 | 464 | 1.149 | 3702 | 25 | 3222 |
2 | 474 | 1.146 | 3771 | 25 | 3291 |
3 | 470 | 1.141 | 3723 | 27 | 3263 |
4 | 469 | 1.141 | 3715 | 26 | 3256 |
5 | 468 | 1.138 | 3698 | 28 | 3250 |
6 | 461 | 1.128 | 3610 | 28 | 3201 |
7 | 471 | 1.143 | 3737 | 26 | 3270 |
8 | 472 | 1.130 | 3703 | 27 | 3277 |
9 | 461 | 1.134 | 3629 | 29 | 3201 |
10 | 470 | 1.136 | 3706 | 27 | 3263 |
11 | 472 | 1.148 | 3761 | 25 | 3277 |
12 | 470 | 1.144 | 3732 | 26 | 3263 |
2)ZAP処理の方針
ザップドマシンではザッピング電圧を0V〜90Vまで可変させることができます。今回の実験ではサンプルセル数が少ないので、基準とする電圧を決め、それよりも低い電圧、それよりも高い電圧という3つの電圧で実験することにしました。またどのタイミングでザップドするのが良いのかも併せて確認したかったので以下のパターンで実験をおこないました。
パターン | タイミング | 電圧 |
1 | 放電後一日経過した時点 | 基準電圧で一回ザップ |
2 | 充電直前 | 基準電圧で一回ザップ |
3 | 充電中盤 | 基準電圧で一回ザップ |
4 | 充電直後(放電直前) | 基準電圧で一回ザップ |
5 | 放電中盤 | 基準電圧で一回ザップ |
6 | 放電直後 | 基準電圧で一回ザップ |
7 | 放電後一日経過した時点 | 低-->基準-->高電圧で計三回ザップ |
8 | 放電後一日経過した時点 | 高-->基準-->低電圧で計三回ザップ |
9 | 放電後一日経過した時点 | 低電圧で一回ザップ |
10 | 放電後一日経過した時点 | 高電圧で一回ザップ |
11 | N/A | ザップしない |
「1)基礎データの収集」で紹介したセル番号と同じパターンのザップをかけて実験を進めます(セル番号1はパターン1でザップ・・・セル番号11,12はパターン11を使用)
3)ザップ後のデータ
各パターンでザップしたセルのデータは以下のようになりました。()内のデータは基礎データからの差分で、赤字は最も値が向上したデータです。
セル番号 | 放電時間 |
放電平均電圧 |
mwhrs | 内部抵抗 | mahrs |
1 | 464(0) | 1.156(+0.007) | 3724(+22) | 23(-2) | 3222(0) |
2 | 473(-1) | 1.155(+0.009) | 3793(+22) | 24(-1) | 3284(-7) |
3 | 471(+1) | 1.149(+0.008) | 3757(+34) | 25(-2) | 3270(+7) |
4 | 474(+5) | 1.154(+0.013) | 3797(+82) | 25(-1) | 3291(+35) |
5 | 466(-2) | 1.141(+0.003) | 3692(-6) | 27(-1) | 3226(-24) |
6 | 463(+2) | 1.137(+0.009) | 3655(+45) | 26(-2) | 3215(+14) |
7 | 469(-2) | 1.152(+0.009) | 3750(+13) | 25(-1) | 3256(-14) |
8 | 473(+1) | 1.145(+0.015) | 3760(+57) | 26(-1) | 3284(+7) |
9 | 462(+1) | 1.136(+0.002) | 3644(+15) | 28(-1) | 3208(+7) |
10 | 469(-1) | 1.157(+0.021) | 3767(+61) | 25(-2) | 3256(-7) |
11 | 472(0) | 1.155(+0.007) | 3784(+23) | 25(0) | 3277(0) |
12 | 472(+2) | 1.149(+0.005) | 3765(+33) | 25(-1) | 3277(+14) |
セル番号11と12はザップ処理していないものなのでこの位の誤差はあるんだな〜ということがここからわかると思います。例えば放電時間で言えば二秒くらいは誤差の範囲ということでしょうか。
このデータより全体的に内部抵抗が下がり、放電平均電圧が高くなった傾向が見て取れます。最も放電時間が向上したのはパターン4(充電直後に基準電圧で一回ザップ)、最も放電平均電圧が向上したのはパターン10(放電後一日経過した時点で高電圧で一回ザップ)でした。
4)放電データをグラフでみると
ザップ前後のセルデータ散布図をみても、やはり放電平均電圧が向上したことがわかります(青がザップ前、黄色がザップ後のデータ)
セル番号4の放電グラフは以下のようになりました(ピンクがZAP前、黄色がZAP後)
セル番号10の放電グラフは以下のようになりました(ピンクがZAP前、黄色がZAP後)
5)今後
今回最も効果が高かったパターンを組み合わせた場合にどうなるのか確認してみようと思います。