チームレポート2025(14)




おそらく世界ではMRWでしか実施していない1/28スケール+スポンジタイヤカテゴリーのタイヤ、ホイールそしてボディーについてMRW常連「ヤマダ兄」がレポートしてくれました。前回のレポートとあわせてご覧ください

============================================

Pan Stock チームレポート(後編)

山田兄と申します。2023年頃から GL Racing (mini-zと同じサイズの1/28スケール、2セルLi-po, スポンジタイヤ、ポリカボディ) のマシンで遊んでいます。今年(2025年)からPan Stockとしてこの1/28スケールのパンカーで定例レースが始まりましたので、定番のマシンやセットアップを紹介したいと思います。

前編に引き続き、MRWで1/28 ミニラジコンを走らせるのに快適なセットアップを紹介します。今回はタイヤ・ボディ編です。

タイヤについて、一般にスポンジタイヤの接着整形済み(貼り完)は販売されていないため自作する必要があります。最初は面倒ですが一度覚えてしまえば非常に安く、安定したハイグリップタイヤを量産可能です。ホイールの直径はmini-zと同じ20mmのものを使用します。フロントは11mm幅(ワイド)、リヤは14mm幅(ベリーワイド)のものがスタンダードです。取り付け規格はmini-zと全く同じなので、まずは手持ちのmini-zのラバータイヤを取り付けて走らせてみても良いかもしれません、ラバータイヤでもグリップ剤を使用すればそこそこグリップするのでとりあえず遊べます。MRWの指定グリップ剤はつくばラジコンパークやKARPと同じSXT3.0です。(一本でミニカテゴリーだと数年分でしょうか・・・)

SXT3.0 グリップ剤(無臭タイプ)

ホイールはメーカー市販のものもありますが、ラバータイヤ用のため内側にフランジが付いておりスポンジタイヤを使用する際は削り落とす必要があり少し面倒です。今回3Dプリンターを用いたスポンジタイヤ専用のホイールを販売開始しましたのでこれを用いるのがおすすめです。複数セットでローテーションすると長持ちするのでおすすめです。3色ありますので好みのものを使ってください

[KYT-206B] 1/28用 YMDホイール前後セット(ブラック)スポンジタイヤ用
[KYT-206Y] 1/28用 YMDホイール前後セット(イエロー)スポンジタイヤ用
[KYT-206W] 1/28用 YMDホイール前後セット(ホワイト)スポンジタイヤ用

3Dプリンター製のものはいわゆるアセトン漬けできませんが、ホイール再利用の際はセッターで削り落とせば3~4回は使えます。ナイロン系のメーカー品を手に入れて加工する手もありますが、国内ではほぼ取扱がありません。フロントの11mm(ワイド)はmini-z用のものが流用できますが、14mm(ベリーワイド)は入手するのが難しいのが現状です。そのため上記の3Dプリンター製のものをおすすめしています。

次にタイヤを準備します。ドーナツタイヤ(リング状で接着するだけのタイヤ)はあまり販売されていないため、市販のスポンジタイヤを加工してドーナツタイヤを作る必要があります。場合によっては1/12用の大きいタイヤをスライス(いわゆるポン抜き)してスポンジ材を入手する必要がありましたが、今回1/28用ベルトタイヤが発売されたので手軽にタイヤ制作できるようになりました。コンパウンドは1/12のレースで実績のある非常に高性能なものです。

[PM3-063] PM3 1/28用 ベルトタイヤ28S(スポンジ)
[PM3-062] PM3 1/28用 ベルトタイヤ28R(ラバー)

まずは前後ともにラバーコンパウンド(PM3-062)を準備すれば十分でしょう。定番の優勝セットです。スポンジコンパウンド(PM3-063)はリヤ用のオプションという扱いで、蹴りが強くなる一方で横グリップは若干薄く旋回性が上がります(個人の感想)

ドーナツタイヤの作り方に関しては他に詳しく紹介している記事がたくさんありますが、自分の作り方を参考に紹介します。早速新発売の1/28用ベルトタイヤを使用します。他に準備するものは

◯ボンド ウルトラ多用途S・U プレミアムソフト
◯マスキングテープは100均の幅太
◯カッター
◯白ボールペン

まずはタイヤを適切な長さにカットします。フロントタイヤのほうが消費が激しい(スイートスポットが狭い)ため、少し多めに作ります。下の写真のカットだとリヤ2セット、フロント3セット切り出せるのでおすすめです。カット長さはお好みですが、直径20mmのホイールに対して手元にあるものだと68mmぐらいがちょうどよかったです。少しきつめで失敗しにくい長さです。ゆるく作るとグリップが柔らかくなりグリップが上がるようです。カット幅は1/28ベルトタイヤが幅35mmのため、リヤは真ん中カットで幅約17.5mm、フロントは3分割で11~12mmずつ取れます。フロントは捨て代がないので少し慎重に。

白ボールペンでベルトタイヤ表面に下書きします

幅35mmのベルトタイヤからFタイヤ3セット、Rタイヤ2セットを切り出す例(1)

カッター等でカットします

幅35mmのベルトタイヤからFタイヤ3セット、Rタイヤ2セットを切り出す例(2)

次にこれらをタイヤ形状に加工していきます。竹ひごなどで接着面の両方にスーパーXを塗布します。ケチらず少し多め。マスキングテープで外側から隙間が開かないように密着して抑えます。開いてしまわないように1周ぐるっと囲うのも良いです。内側にもはみ出した接着剤を潰すようにマスキングテープを貼り付けます。内側にボンドがはみ出しているとボコボコしてイマイチです。1晩しっかり乾燥させます。

ドーナツタイヤが完成したらホイールに接着します。両面テープでも可能ですが、何度も走行を繰り返すとグリップ剤が両面テープに浸透して剥がれてきてしまいますので何度も使いたい方は接着したほうが圧倒的にトラブルレスです。ホイール再利用の際はセッターで削り落とせば3~4回は使えます。

定番のおまかせグルー スポンジタイヤ用瞬間接着剤
[CS-SGSTA] おまかせグルー スポンジタイヤ用瞬間接着剤 (50g入)

おまかせグルーはきちんと管理すれば最後まで固まらずに使い切れます。1/28タイヤだと相当持つので、固まって駄目にしてしまわず最後まで使い切りたいですね。

1.ノズルの先端をデザインナイフなどで細く整形します。タイヤが小さいのでそのままのノズルだと入り込みにくく、余計な接着剤でベトベトにしてしまいがちです

2.ホイールとタイヤの間にノズルを差し込み、最初多めに流し込みます。ノズルの周りが接着剤で満たされてよく滑るようにしてからぐるぐると回して接着剤を行き渡らせます。回している最中も少し流し込むとスムーズ。

3.ひっくり返して裏側からも同じことをやります

4.最後に素早く(ここが重要)タイヤをホイールに対して90〜180度ほど回転させて接着剤をまんべんなくタイヤとホイールの間に充填させます。ここの処理が甘いと薄肉になったときにベロンと剥がれてタイヤが終わってしまいます

完成。タイヤを太め、キツめで作っているのでゴムバンドやマスキングテープでぐるぐる巻きにする必要はありません

瞬間接着剤を使い終わったらノズル内部に溜まっている接着剤をペーパー等に吐き出させます。ちゃんとノズル内が空になっているのを確認します。ペーパーで周囲も拭き取ってサラサラにしましょう。最後にキャップを被せてマスキングテープで密封します。これで開封から半年以上固まらずに使い切れます

テープで密封することで固まらず長期間使えます

さて、だいぶ長くなってしまいましたが最後にタイヤの整形です。長年待ちわびた、一般的な8mmシャフトのセッターに取り付け可能なセッターハブです!!AWD, RTBのような4WD用のスポンジタイヤも作成できる最高のアイテムです。ぜひ入手しておきましょう。

EPS-Jトゥエルブタイヤプロセッサー用スペア・ホイールハブ(ミニッツ)

ミニッツ互換のセッターハブ。RWD/AWD両対応

これでフロント22.5mm、リヤ23〜23.5mm程度に削り落とします。はみ出ている部分は最初にハサミでカットしてしまうと時短できます。最初から全部揃えるのは大変かと思うので、MRWのお店でプロに指南してもらいつつ作業してみるのも良いかもしれません。

また私のようにどケチな方は更になるタイヤ節約のためにこのミニタイヤをポン抜きしてそこからベルトタイヤを作ります(笑)。綺麗にポン抜くためにタイヤ両側からバイトを入れる必要があり、ホイールをひっくり返せるハブが必要です。次に紹介するようなハブがあると作業が捗ります

用意するもの
◯M4シャフトのツーリングカー用ハブ
◯外形6mm, 内径4mmのアルミスペーサー(ホイール内側にいれる)
◯M4のナット、ホイール抑え(参考:https://www.monotaro.com/p/3300/5402/)

ホイールにスペーサーを取り付けることで内径4mmのハブに取り付け可能になります。これでひっくり返しつつポン抜きします。写真は[EPSJ-28-PRO] EPS-Jトゥエルブタイヤプロセッサー(ミニッツ仕様)に自作ポン抜きハブを組み合わせたもの

ど真ん中でポン抜きするとなんと外径は23.5mm弱!削りしろほんの少しでパーフェクトなタイヤができました。

ポン抜かれたタイヤ(左)。これをベルト状にカットしてそこからまたタイヤを作ります

最後にサイドウォールを整えて完成です。グリップ剤を吸って柔らかくなると欠けやすいので、大きめにラウンド、面取り加工しておくのがおすすめです。フロントタイヤはショルダーグルーしたほうが走りやすい場面が多い(特にタイヤ径22mm以上の場合)ので、ロックタイトのブラシ付きを準備しておくと良いです(参考:こちらのリンク

以上がスポンジタイヤの制作方法になります。最初は手間が多くて大変ですが慣れるとお安く安定して作成できるようになりますのでぜひチャレンジしてみてください。

記事が長くなってしまいましたが、最後におすすめボディを紹介します。最近よく走ると定番のAMR型ボディから始めるのが良いと思います。スタンダード厚とライトウェイトで3g程度の差しかありませんので、スタンダード厚でも十分戦えます。何より長持ちします。

PN Racing, Marka Racing のラインナップがあります
[PN-600819] PN Racing AMR Pan Car Body Kit
[MRK-8030] Marka Racing Mini-Z Lexan RK-AMR Pan Car Body – Regular

長年MRWで圧倒的に人気だったsubRCのボディです。低めのデザインに定評があり相変わらず良く走ります(語彙力なし)
[SBRC-B011] SUBRC, SBR PAN CAR Lexan Body (98mm W/B)

こちらの新型ボディも競技向けの形状でよく走ります。デザインもシュッとしていてとてもかっこいい(語彙力)
[MRK-8031-07] Marka Racing Mini-Z Lexan RK-LP1 Pan Car Body (98mm W/B) – Regular

また1/12ライクなフレックスバンパーを作成していたりします。シャーシにダメージがいくことは稀ですが、せっかく大事なボディなので大事に長く使いたいですよね。今後販売できるかもしれませんのでそんなに期待せずにお待ち下さい。

あと紹介したいのはメカ、受信機、計測周りですね。このあたりも状況が整ったらレポートしたいと思います。以上、長くなってしまいましたのでここで終わりたいと思います。

お読み頂きありがとうございました。

============================================

過去のレポートへのリンク

2025年
2024年 2023年 2022年 2021年 2020年
2019年 2018年 2017年 2016年 2015年
2014年 2013年 2012年 2011年 2010年
2009年 2008年 2007年 2006年 2005年