2006年09月27日
Team CRC Japan2006レポート・番外編(36)
- きみひこ
- 20:26
- コメントする
- トラックバックする
- カテゴリー:レポート(2006年)
今回はサポートメンバーのraziさんが参加されたスロットカー・レースの模様を無理言ってレポートにしていただきました。普段聞けないレースの話で興味深く読ませていただきました。raziさんありがとうございます!
CRC Japan 2006サポート待遇のraziです。
今回はレポート番外編として、9月22日~23日に開催された、「DPM 2006」(ドイツプラフィット選手権Deutsche Plafit Meisterschaft)と言うスロットカーのレースに選手として参加してきた模様を書きます。
まずはこのレースの概要についてですが、プラフィットとは日本の「シグマホビー」が製造している、1/24や1/32スケール用スロットカーのブランド名で、このレースは1/24スケールのプラモデルをボディとして使用するシャーシを使用します。
主催しているのはメーカーではなくドイツにある販売会社「H+T Motor Racing」です。この会社からヨーロッパ各国へプラフィットを販売しているようです。
このレースは1999年から開催されている格式あるレースのようで、日本は昨年から参加しています。今年は主催国ドイツやスペインなどヨーロッパの複数国と日本を含む7カ国(主催者発表)48チーム(3人1チーム)が参加する大規模なイベントです。
ラジコンのレースにたとえれば、タ●ヤグランプリや京●カップのような感じでしょうか。
基本的なパーツはプラフィットブランドで販売している部品のみ使用可能で、リヤタイヤ、ホイール等一部パーツはヨーロッパで販売しているメーカーの部品を使用します。
ボディに関しては、主催者が指定した「GT」カーを基本とするプラモデルや1/24スロットカー完成車のボディを使用し、使用車種(製造メーカーも指定)毎に具体的にどの部品を取り付けるか、どこまでカットしてよいかを具体的にレギュレーションで指定しており、ボディ毎の性能差が少なくなるようにしてあります。それでも実際は性能差が出てしまいます。プラモデルボディ使用のスロットカーの宿命とも言えるのですが、シャーシ側のレギュレーションもあわせてかなりイコールに近づくようにしてあります。
ここからは時系列的に説明を入れながら書いていきます。
9月21日(木)
成田空港からフランクフルト行き旅客機に乗り、ドイツ時間の夕方に到着しました。空港まで主催者の奥さん等が迎えに来ていただき、その方の車でフランクフルトから車で30分くらいにある「Darmstadt」市内のホテルまで送っていただきました。レース開催場所は同じ市内の公民館みたいな場所です。主催者の会社もその公民館の近くにあります。
この日はホテルでレースへ向けた準備をして終わりました。
9月22日(金)
この日は7時に開場、7時15分から受付開始です。実際には事前エントリーで済ませてありますが、当日は再確認と言った感じでしょうか。
我々日本選手団?は7時には開場に到着しゆっくりと準備を始めます。ではここで今回参加した日本チームについて説明します。
今回は前年に続き日本からは2チームが参加しました。まずは「Racing Paradise」から。このチームは「シグマホビー」社長、プラフィットの日本国内販売会社直営サーキットの若い店員でそのサーキット最強のA沢選手、そのサーキットの常連で若手のエースT田選手の3人。若手二人の走りに期待がかかります。チーム名は直営サーキットの名称からです。
そして私が所属する「SKR with ZinkRacing」。ZinkRacingのK藤選手、K藤選手の師匠であったS根選手、そして私raziです。この3人は、かつて(10年前後昔)シグマホビー主催による全日本選手権(といってもラジコンに比べればはるかに小規模ですが)で優勝経験があります。私は優勝1回なので、実績からみればこの3人の中ではサードドライバーです(^_^;)
実際にはK藤選手が現役バリバリでスロットカー用オプションパーツの販売もしている方で、実行上K藤選手を中心としたチームになります。
上記のメンバーで昨年も参加したのは、 「シグマホビー」社長、K藤選手、T田選手、私の4名です。では、レースの内容に戻りましょう。この日は練習走行、車検、予選が行なわれます。まず練習走行についてですが、今回のコースは公民館?に特設された8レーンのコースで、8チームを1グループとして各グループ単位で各レーンを3分づつ走行します(3分×8レーン)。今回は48チームなので6グループになります。
走行する順番(ゼッケンも)は基本的には昨年の順位から決まっていて、日本の2チームはゼッケン31と37で3グループで、昨年優勝したチームはゼッケン11で1グループになります。練習走行はゼッケンの老番グループからなので、日本チームは後ろから3番目に走行開始します。
さて、練習走行1回目でいきなりトラブル発生!ゼッケン31なので1レーンから練習開始になりますが、1~3レーンは私が担当なので私から走行しようとしましたがいきなり車が動きません。この時はゼッケン32のチームが不在だったこともあり、主催者と切り分けして2レーンでは問題なく動いたので、主催者のはからいで2レーンで走行を開始しました。原因不明で不安なスタートとなりました。主催者が接続したコントローラでは1レーンで問題なく動いたので・・・(>_<)
練習1回目では各自のTカーとレースカーを走行しましたが車の動きは問題なく、他2名も基本的な問題は無い事を確認しました。1回目の練習では各車両のギヤ比を変えて最適なギヤ比を探す事を中心に、重量配分や今回のレースで支給されるのと同じロットと思われるリヤタイヤも使用しました。このグループの中では日本の2チームはかなり速いことが確認できました。
練習2回目では私のコントローラの不具合も出なくて(これ以後一度も無し)、ギヤ比の見極めのほか、シャーシのロールを若干硬く(シャーシ両サイドのスプリングのイニシャルを0.25mm強く)した使用で走行しました。予想通りグリップもあがりセット変更も適切でさらに良い状態です。この2回の練習でギヤ比、重量配分、スプリングセットを決定する事ができました。
練習3回目では前輪車軸からガイド間の位置を3種類試しました。さらにグリップが上がっており、ホイールベースを長く(前輪車軸からガイド間を長く)した方が扱いやすく、この仕様で決定となりました。
また、今回支給されるリヤタイヤの硬度がテストで使用したタイヤより若干やわらかく、支給タイヤを受け
取ってからの練習走行距離が長くなることが想定されたので想定よりリヤタイヤの直径を0.2mm大きくする事と決めました。このレースでは最低地上高や最低タイヤ直径が決まっており、走行後にこれを下回っているとペナルティとして周回数を減算(このレースは1レーン12分で1~8レーンの合計周回数で競い、モーターやタイヤは故障する以外の交換は出来ず、すべての修理はレースのオンタイム中にしなければならない)されるのでマージンを増やしました。
我が「SKR with ZinkRacing」は練習走行のラップタイムがベスト7.5秒台、アベレージは7.7~8.0秒(レーンによる)でトップチームと遜色ないように見えます。 「Racing Paradise」もベスト7.5秒台で期待できます。
3回の練習走行終了後(すでに夕方です)、レースで使用するモータとリヤタイヤが支給されます。各グループ毎に車検員が待つテーブルへ呼ばれ、その前で制限時間30分でモーターやリヤタイヤを取り付け車検員に渡さなければなりません。リヤタイヤは整形してありますが、使用する直径より大きいので取り付け前に削る時間も含まれます。この作業終了時点で車検員に渡すと予備車検及び車両保管になります。日本の2チームは無事に予備車検をパスしました。
次に最終4回目の練習走行です。今回も各レーン3分の走行です。モーター取り付け時の慣らしは一切禁止だったのでゆっくり走行させながらモーターとリヤタイヤを慣らします。私の最後の練習レーンである3レーンから通常の走行を行い、7.6秒台前半のタイムでまずまずです。支給されたモーターは「まあまあ」で出来ればもう少し回ってほしいです。モーターはそんな感じですが、3人とも車の状態は問題なしとの評価で期待できそうです。この練習走行が終わった瞬間に車両は再度回収され本車検になります。本車検も無事にパスしました。
タイムスケジュールではこのあと予選ですが、旅客機の遅延で到着が遅れたスペイン勢のために練習時間をとったので遅れて予選を実施となりました。この時点で23時を回っています(>_<)
予選は1分間の1周ベストタイムを競うもので、走行するレーンは主催者がくじ引き?で指定した特定の
レーンを全チームが走行します。予選結果で1~8位が最終組と言うように組み合わせを決めるたで、極
端な事を言えば予選ビリでも優勝できますが、決勝は予選最後尾グループから実施するので後に走行するグループにいたほうが確実にタイムがあがるので決しておろそかにはできません。去年は予選13位だったのでAメイン?を目指します。
今回の使用レーンは3レーンになりました。我がチームは決勝時に誰がどのレーンを走行するか決めてあり、予選もそれにあわせる事にしていたので今回は私がタイムアタックを行ないます。
持ち時間1分内ではメンテナンス可能なのでオフィシャルが車両をコースにおかれスタートの合図後すぐに車両を止め(止める場所も指定されています)ブレードのメンテ等を行ないコースに復帰しアタックを開始します。3レーンの状態はかなりよく、いい感じで走行します。時間内に6周しベストは7.4269秒!!!
これは去年のファステストラップを更新するサーキットベストタイムでTQ獲得!!!となりました。この時点では「ベストハンドリングマシン」(ハンドルは着いてませんが)であったと思います。
もうひとつの日本チームも7.5503秒で5番手(アタックはT田選手)で2チームそろってAメインで明日に向けて期待出来ます。この日のスケジュールが終わったのは翌0時を回っていました。
9月23日(土)
この日も開場は7時でしたが、昨日帰ったのが遅かったのと、Aメインの写真撮影も午後からだったので7時30分頃到着としました。昨年もそうでしたが上位チームはまだ来ていません。スケジュールから少し遅れてFメイン?から決勝レースがスタートしました。やはり最初のメインではグリップが低いようです。
先ほども書きましたが、このレースは各レーンを1回づつ12分走るので96分での合計周回数で競います。
12分経つと電源が自動的に切れて、コースマーシャルやオフィシャルが車両が止まった場所でレーンチェンジを行い合わせてマーカー(走行しているレーンを示すシール)を張替え再度スタートと言うように進めます。なので、スタートラインにならんでのスタートは一番最初のヒートのみになります。各ヒートスタート時の電源はタイマーがスタートすると同時に入ります。そして8ヒート終了後最後に止まった地点をオフィシャルが確認し端数を合計周回数にプラスします。
レース終了後にも車検はあるのですが、各メイン毎に1回レース中の車検がありました。ヒート中に時計を止めて電源を切り各車両の最低地上高を測定します。
各メーン毎のレースが進みグリップが上がってきているようです。上位になるにつれてレースペースも上がりBメインではかなりの周回数が記録されています。
待っている間に、各チームの撮影が行なわれました。当初は支給されたTシャツでの撮影との事でしたが、チームのユニホームを着てきているチームはそのユニホームでの撮影となりました。我がチームも今回ユニホームを作成しましたがその甲斐がありました(^_^)v
各メーンがスタートする前に、2分間の完熟走行が出来ます。これはそのチームがスタートするレーンのみになります。メンテナンスもその2分以内なら出来るので簡単にメンテして完熟走行します。ところが何か前日より1レーンの調子がいまいちです。パワー感が少ないです。結構レーンによってパワー感が違うことはありますが、前日と変わるとは???
そして20時過ぎからAメインがスタートです。TQの我がチームは1レーンスタートになります。本当はスタートするレーンを選べると良いのですが(-_-;)
1レーンスタートなので私がスタートを務めます。さらに第二ヒートの3レーンと最終ヒートで2レーンを担当します。S根選手は4と5レーン、K藤選手は6~8レーンを担当します。このレースでは一人最低24分(2ヒート)走らないといけないルールです。
そしてスタート!若干出遅れた私は走行がいまいち安定せず3回もミスをしてしまいました(;_;)結局91周で4、5番手位です。2ヒート目もいまいちリズムが掴めず、また不運もあり91周でした。1~3レーンはこのコースではタイムが出るので周回を稼がないといけないのですが予定より1周足りません。3ヒート目はS根選手により5レーンを走行、まずまずの走行でしたがクラッシュでボディがシャーシから外れかかり修理です。これで5~6周失い84周でした。次からはK藤選手が3ヒート続けての走行です(7、8、6の順)。K藤選手の走行は素晴らしく、90、88、92周とほぼ想定通りの周回数で、特に6レーンでの走行はこのチームのベスト周回数です。7ヒート目はS根選手が4レーンを走行、別のヒートで外れたボディ部品を取り付けするためにピットインし1ラップを失い89周です。このボディ部品(ヘッドライトカバー)はレギュレーションでは外れていても走行可能ですが、ボディの最低重量を下回る可能性があったので安全を見てピットインしました。
さて、最終8ヒートは2レーンで私の走行です。スタート・・・勝手に我がチームの車が走り出しました(@_@;)
マーシャル(オフィシャル)がレーン変更をしていなかったのです。確認しなかった私も悪いのですが・・・。
すぐにレースは中断して2レーンで走行出来ましたが、ゴールラインを超えたので1ラップを失いました。このヒートは私が一番乗れていたので順調に走行します。結果は91周でこのチームのレース最速ラップ(チーム毎のレースベストで比較すると6番目)となりました。
と言うことで結果は5位になりました。1位から18.86周遅れです。決勝のペースから見るとすべてが順調としても我がチームは3位がいっぱいだったと思われます。Aメイン走行時のグリップは去年経験した路面よりもグリップが高く、今回の車両に対してオーバーグリップになっていた可能性もあり、これがペースが上がらなかった理由なのか・・・来年も参加するのであれば、決勝でのペースが上がらない、あるいはライバルチームより遅い原因を探求し対策を考えなければなりません。
もうひとつの日本チームは、決勝のハイグリップ路面にセットが合ってない、あるいはこれだけのビッグレースに対しての経験不足か15位になりました。
そうは言っても昨年に比べれば長足の進歩したのは間違いありません。(昨年は23位と39位)2チームがAメインでレース出来たのは今後にとって大きな財産です。レースが終わったあとは充実感がありました。また、我がチームが記録したTQタイムは決勝時に抜かれていないので、来年まではレコードタイムになります。来年はこのタイムを上回るような車両で参加出来るようにしたいです。
レースが終わった後は結果発表、そして公民館内にあるレストラン等で主催者が準備したビッフェを楽しみました。
レース終了後は(あるいはレース中)複数のチームが我がチームのシャーシを見にきたりセット内容を聞いてきたりといった事がありました。去年はそのような事がなかったので(去年も練習走行では2番目の1周ベストタイムを記録していましたが)、やっと私たちの速さが認められたんだと実感しました。
ビッフェをほどほどに切り上げホテルに戻ってから3人でミーティングをしてから睡眠しました。
9月24日(日)
この日は夜の便で帰るのですが、2日間の疲れから観光に行かずにチェックアウト(12時)までホテルにいて、その後ホテル周辺のラジコン店に行ったのですが休みでした。QC3かスフィアコンペティションが売っていれば買おうかと思ったのですが・・・ドイツのお店は日曜日休みが多いようなので、今後ドイツへ行かれる方は注意してくださいね(^_^;)
ホテルからフランクフルト空港までタクシーに乗ったのですが、このタクシー(ベンツのワゴン)が高速道路で220Km近くまで出してました。乗用車でこの速度は初めての経験でした。さすがドイツ?!と言ったところでしょうか。その後適当に時間をつぶして予定の便に乗りました。ちょっとした?ハプニング(旅客機のエアコンが効かないとか電源が予備に切り替わったり等)がありましたが無事に25日(月)に成田へ到着しました。
おわりに
2年連続でDPMに参加して感じたのは、当たり前のような事を書きますが参加者が真剣にスロットカーレースをしている事です。日本の(プラモデルボディーの)スロットカーレース人口はとても少なく、本格的な「競技」としてのレースがなくなっているのが現状です。ドイツやスペインの方々は技術的レベルも高く、私の今の正直な気持ちでは、真剣に参加したいと感じるスロットカーのレースはDPMのみです。
日本でも近い将来このようなレース(名目でなく中身が)が開催出来るようになる事を期待します。
そして、今回のレポートを掲載して頂いた「kimihiko-yano.net」に感謝いたします。
今回のレポートは以上です。
次回は1/12全日本選手権向けた練習の模様をレポートする予定です。
Trackback on "Team CRC Japan2006レポート・番外編(36)"
このエントリーのトラックバックURL:
"Team CRC Japan2006レポート・番外編(36)"へのトラックバックはまだありません。
"Team CRC Japan2006レポート・番外編(36)"へのコメントはまだありません。