前回までの試験で放電時間に大きな影響を与えることがわかったICSですが、プロトラック社でも同じような試験をおこなったようです。プロトラック社では他社製のイコライザーとICSを使った場合を比較して試験をおこなったようです。今回はプロトラック社から提供されたデータを紹介します。
充電パラメータは次のように設定したそうです。
サイクル充放電の回数:37回
サイクル間の待機時間:2時間(この間にイコライジングをおこなう)
充電電流:5A(リニア、3ステージ充電無し)
Δ電圧:0.05V/バッテリー当たり
使用バッテリー:GP3300ベースの中古マッチドバッテリー(同じ物を使いました)
今回ICSと比較した他社製イコライザーは、0.1V単位で放電停止電圧をプログラミングできるものです。
試験は連続して次のようにおこないました
1)イコライジングをおこなわないで9回のサイクル充放電
2)他社製イコライザーで0.1Vまで放電をおこない、そのあとサイクル充電。これを9回繰り返す
3)ICSで0Vまで放電をおこない、そのあとサイクル充電。これを9回繰り返す
4)再びイコライジングしない1)のパターンを7回
5)ICSで0Vまで放電をおこない、そのあとサイクル充電。これを3回繰り返す
それでは結果をみていきましょう。このグラフは37回のサイクル充放電で得られたデータを左から順にプロットしたものです。赤いラインの要素はイコライジングの有無と電圧を表しています。紺色の要素は放電容量(D/CAP)、水色の要素は充電容量(CCAP)をあらわしています。 ICSでイコライジングした場合には充電、放電容量とも上がっていることがわかります。
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次に放電時間を比較してみましょう。赤い要素は先ほどと同じくイコライジングの有無と電圧を表しています。やはりICSを使ってイコライジングしたほうが放電時間の改善が見られます。イコライジングしないときと比べて約30秒、他社製イコライザーと比較しても20秒近くの差があります。
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放電時間を平均化したグラフです。イコライジングの差がはっきりとあらわれています。
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イコライジング中の電圧を比較してみました。こちらは他社製イコライザーが各セルを放電している様子です。動作の仕様はよくわかりませんが電圧がたまに上がっていることがわかります。
一方こちらはICSによるイコライジングの様子です。上のグラフに比べて滑らかなカーブを描いています。これが放電時間の改善に貢献しているのかもしれません。
次にICSと他社製イコライザーを全く同じ条件で使用して比較してみました。今回は次のパターンを実施します
1)他社製イコライザーで0Vまでイコライジングする(6時間)
2)1時間バッテリーをイコライザーから外す
3)サイクル充放電をおこないデータを収集
4)ICSで0Vまでイコライジングする(6時間)
5)1時間バッテリーをICSから外す
6)サイクル充放電をおこないデータを収集
結果は次のようになりました
やはり放電時間は約20秒の改善。そして放電平均電圧にも若干の改善がみられました。