R/Cカーのタイム計測ソフトウェアZroundを紹介します。多機能なソフトウェアのため不定期に複数に分けて紹介していきます
0)どうして紹介するの?
このソフトウェアは当店コースMRWでレースを始めた2011年より使用しているものです。完成度の高いソフトウェアなのにマニュアル類がなく「使って慣れろ」的なものになっているのが残念で10年以上使ってきた経験と知識をまとめたいという気持ちからこの記事を書くことにしました。もう1つは開発元が大変意欲のある方でこちらからの新機能要望などにも親身になって対応してくれます。その熱意にも自分のできる範囲で恩返ししたいという思いを持っています
レース運営やコース運営にかかるコストを大幅に下げることができますので多くの方が操作を習得し現場で使っていただければ最高です。当店MRWコースにていつも使用していますでのレース時に操作を見学していただくこともできます
1)Zround(ゼット・ラウンド)って何?
ZroundはスペインのプログラマーJesus M.Broceno氏によって開発・配布されているタイム計測ソフトウェアです
正式にはZround Suite(ゼット・ラウンド・スイート)という名称でR/Cレースのタイム計測に必要なソフトウェアがセットになったものです。マイクロソフト社のWindows OS(32/64bit)に対応しています(Windows XP以降に対応していますが本記事執筆時はWindows10/11を使用)
Zroundはレースイベントでのタイム計測はもちろん、レースがないときのコース開放日(練習日)のタイム計測もおこなえます
Zround Suiteには下記4つのソフトウェアが含まれます
- Zround – Race Manager
レースマネージャー。タイム計測をおこない、表示する - Zround – Championship Manager
チャンピオンシップマネージャー。レースの組み合わせを作ったり、過去のレース記録を保存する - Zround – Track Designer
トラック・デザイナー。ミニッツのウレタンコース(RCP Tracks)素材を用いたコースレイアウトを作成できるツール。デザインするだけではなくRace Managerと連動させることも可能 - Zround – Zviewer
ゼット・ビューワー。ネットワーク上の他PCで計測画面を遠隔表示するソフト
2)Zroundの特長
- フリーウェア
多機能でありながら無料で使用できます。ただし開発元への寄付(paypal)は常時受け付けています。気に入ったら是非寄付しましょう - 対応するデコーダーが多い
業界標準のAMBにはもちろん、京商のICタグ、各社の赤外線タイプのトランスポンダーなど計16システムに対応しています。Zroundの操作方法を習得すればミニッツレースから1/10、1/12スケールのレースまで多くのイベントをおこなうことができます。詳しくないためこの記事では触れませんがスロットカーの計測システムにも対応しているようです - 様々なレース・スタイルに対応
草レースから全日本選手権レベルのレースまでオーガナイザーのやりたいスタイルのレースを実現できます。コントロール(予備)予選、任意回数の予選、予選途中での組替え、勝ち上がりスタイルの決勝を好みに合わせてセットできます。1/8スケールの世界でおこなわれる1/2決勝、セミファイナル、決勝というスタイルにも対応しています - ポイントによるシリーズ戦も管理可能
レース順位に応じてドライバーにポイントを付与することができます。複数回のレースを1つのシリーズとしてポイント制で管理できます。何ポイントを与えるかはあらかじめ準備された設定を利用することもできますし、自身でオリジナルのポイントを作成することも可能。予選TQ、ファステストラップに対してポイントをつけることもできます - タイムの読み上げ機能と計測音
ラップタイムの読み上げ機能はコース開放時(練習日)に重宝します。計測ラインを通過したマシンのタイムが読み上げられます。設定すれば任意時間内で何周できるかという他にない方法で計測することもできます。各ドライバーのベストラップが記録されたときには特別な音を鳴らすこともできます。当店では利用していませんがある程度のレース実況も可能になっています。タイム読み上げには別途SAPIをパソコンにインストールする必要があります(SAPI5互換) - ラップタイム、周回数データが保存される
各ドライバーがマークした記録は保存されます。記録を更新した場合に特別な音を流したりアナウンスをおこなうことができます。比較する過去の記録は全期間はもちろん、今週、今月など管理者が範囲指定できます。また過去の記録を閲覧することもできます - レース結果のアップロード
レース結果はパソコンに保存されるのと同時に開発元提供のサーバーへ自動アップロードできます(事前のユーザー登録とインターネット接続必要)。裏技を使えば自前のサーバーへリザルトをアップロードすることもできます - 計測の練習ができる
これまで慣れ親しんだ計測ソフトを乗り換えるのは計測担当者にとってストレスになるものです。本番のレースでいきなり新しいソフトを使うにはリスクがあります。Zroundには本番さながらの練習モードがあります。デコーダを持っていなくてもソフト単体で(仮想的に)タイム計測できます。十分に練習を積んで自信をつけてから本番に臨むことができます - 動画配信・録画に特化した機能
youtubeなどの動画配信サービスでレースの模様をライブ配信する場合に重宝するタイムバナーを表示することができます。動画配信ソフトウェアでこれをキャプチャーすることで実車F1中継のような情報を画面に表示できます(動画配信ソフトウェアは別途準備してください) - 日本語対応(バージョン1.22.4.3以降)
日本語化は矢野が担当しています。新機能が追加された場合にもすぐに対応しています - この他にもここでは書ききれないほど多くの機能や技があります。私が10年以上使ってきた経験から習得したものを今後の記事で紹介していきます
3)Zroundの使用実績は?
ソフトウェア自体は2006年にリリースされています。私が知る限り海外では
- PN Racing主催のミニッツワールドカップ(PNWC)
- HFAY(How Fast Are You?)
共通コースレイアウトで世界中のドライバーがタイム争いをするイベント - 多くの海外クラブレース
で使われています
国内では
- 当店コースMRW(2010年~)
- EPS-J(2015年~)
- MAP / KARP(2017年~)
- つくばRCパーク・オンロードコース(2024年~)
で使用実績があります
4)Zroundの入手方法
Zroundは開発元のホームページからダウンロードできます(無料のユーザー登録必要)
5)必要なパソコンスペックは?
Zroundによるタイム計測とレース管理はWindows XP時代のパソコンスペックで十分動作します
開発元公表の最低限スペックは
- OS:Windows XP以降(32/64bit)
- CPU:Pentium III以降
- メモリー:128MB以上
- ハードディスク空き容量:50MB以上
- ディスプレイ解像度:SVGA 800×600以上(1024×768以上推奨)
- ネットワーク:レースリザルトを外部サーバにアップロードする場合必要
- COMMポート:デコーダー接続に必要な場合
となっています。同じパソコンで他タスク(映像配信など)を同時使用するにはこれ以上のスペックが必要になることがあります
6)Zroundの情報収集
下記ページでユーザーによる情報交換がおこなわれています
この記事は執筆時の最新バージョンをベースにしています
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