Team CRCによる世界戦レポート




CRC本社がリリースした世界戦レポート(原文はこちら)の主要な部分を訳したものです

Team CRC Japanメンバーによるレポートはこちらです
キミヒコ編 Kazuki編 ハヤト編

Team CRCが2014 IFMAR世界選手権で優勝!

** CRCドライバーMarc Rheinard選手が自身4度目となるワールドタイトルを獲得 **
** 新型Xti-WCシャーシとCRCタイヤを使用しCRC初のワールドタイトル **

wed-marcwin-2_0-800 wed-marcwc-web Aメイン決勝1,2回目を立て続けにトップゴールしIFMAR世界チャンピオンとなったドイツ人ドライバーMarc Rheinard選手。2回目の決勝をゴールし安堵の表情を見せたあと喜びを表現した。彼の勝利を支えたのは伝説となるスタッフ達でした!決勝レースでは誰もMarcのCRC Xti-WCを止めることはできませんでした

IFMAR世界選手権は2年ごとに開催されます。大きなチームが集う大会の1つであり、世界中からドライバーが参加します。特設コースでおこなわれ地元ドライバーが有利にならないよう配慮されます。パフォーマンス、経験そして知識の総合力が問われるイベントがIFMAR世界選手権です

1/12レーシングはカーペット路面でおこなわれるのが世界標準であるにも関わらず当初発表されたプランはアスファルト路面で開催されるというものでした。この発表があってから半年後のSnowbird会場でCRCはIFMARオーガナイザーとCRCカーペットを世界選手権のために供給することで合意しました。そして世界選手権にはアメリカ、日本、ヨーロッパなど各地から有力なチームとドライバーが集結しました

CRCドライバーの紹介:
CRC USAからはAndy Moore、Marc Rheinard、Brian Bodineの3ドライバーが参戦しました。彼らは現行のAltered Egoシャーシをベースにしたプロトタイプマシンを使用しました。世界選手権時には正式名称は決まっていませんでしたが発売される製品はXti-WC(World Champion)という名称になる予定です。

日本からは矢野 皇彦が率いるCRC Japanチームが参戦しました。遠藤一樹と全日本チャンピオン石岡勇人もやはりプロトタイプマシンをドライブしました

ヨーロッパからはBlackArt/CRCチームのオーストラリア人ヤングドライバーDominic Vogl とヨーロッパ選手権で表彰台経験のあるフランス人ドライバーJakob Zundelが参戦しました。彼らはBlackArtオリジナルのカーボンコンポジットシャーシにCRCパーツを組み込んだマシンで参戦しました

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2014年の全日本チャンピオン石岡勇人。イベントを通じてトップレベルの走りを披露した。Xti-WCをドライブし予選8位、総合7位でレースを終えた。3回の決勝すべてでトップ3に入る走りを見せながら不運によってポジションを落とさざるを得ない状況に見舞われた。これが最後ではありません。これからの活躍が期待されるヤングドライバーです もう一人の有力ドライバー遠藤一樹。彼もCRC Xti-WCをドライブした
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表彰台の中央に立つためにMarc Rheinardはフロリダにやってきました。彼の友人であるThomas Pumplerがメカニックを務めたことでMarcはリラックスしてドライブに集中することができました Andy Mooreはオランダでおこなわれた前回の世界選手権で優勝を目前にしながら2位に終わったため今回はリベンジを果たすためアメリカにやってきました。オランダで最も速かった彼はメカニックも自身でこなす本当のプロR/Cドライバーです。ピットエリアではハードワークをこなしつつ彼のスポンサーへ配慮も忘れません
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ヨーロッパ選手権で表彰台に上がったばかりのAlexandre Laurent は礼儀正しく無口なタイプです。しかしレースが始まると熱い走りを見せるBlack Art/CRCドライバーです

 

チームをサポートしたスタッフ:

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日本の友人3名です。左から石岡征之(ハヤトの父)、矢野皇彦(チームマネージャー)、田中静男(メカニック)。Team CRC Japanは世界チャンピオンを獲得するために本当にとても大きな役割を果たしてくれました。何十時間にも及ぶテストとその後の簡潔にまとめられたレポートの提出。彼らのインプットがもし無かったら世界選手権の結果は大きく変わっていたでしょう。Team CRC Japan本当にありがとう チームリーダー矢野の先導のもと献身的なテストをおこなってくれたドライバー遠藤と勇人。Team CRC Japanは彼らのドライバーをAメインに送り込んだ。彼らはイベントの1ヶ月前からキーとなるテストデータを我々に提供した
   
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CRC代表のフランクは今回チームサポートに徹しました。フロリダの太陽の下タイヤの削りカスにまみれた彼の姿が目撃されました。その写真や動画が無いのが残念です オーストリア人のThomas Pumplerは優勝したMarc Rheinardのマシンの整備とセットアップをすべておこないました。変化する路面コンディションにマシンを対応させ、ドライバーからのコメントをセッティングに反映させていました
   
 
マッチモア社の代表Jihyun Jang氏は優勝したMarc Rheinardのドライビングスタイルに合うように彼のESCとモーターをセッティングしました  

 

CRCのプロトタイプマシンの紹介(Xti-WCとして発売予定):

前回2012年オランダでおこなわれた世界選手権でCRCはXtiシャーシをお披露目しました。過去のCRCシャーシと同じようにこのシャーシは新しいアイデアを導入した全く新しい1/12カーでした。特長の1つはシャーシ中央に縦積み(=Inline)搭載可能なバッテリー、そして横積み(=Transverse)をも可能にしたデザインです(これがXtiの名前の由来になっている)。もう1つの特長は無段階にリヤ車高を調整できるSlider Podデザインを導入したことでした。最後にXtiは特徴的なフロントエンド構造つまりUプレートサブフレームを導入したことで左右のフロントサスアームの間にサーボを搭載することができました。このサブフレーム構造はXtiシリーズの「キー」となる技術でありこれによってフロントエンドの精度・剛性が確保されました。

今回の世界選手権でお披露目されたXti-WCはフロントUプレートをメインシャーシに6点止めする構造に変更されました。6本のボルト(Bolts)で固定されるため社内では6Bのコードネームで開発されました。これまでのXti/Xti-Altered egoは4つのボルトでUプレートがメインシャーシに固定されていました。Xti-WCで追加された2つのネジによってフロントの剛性が向上しました。しかしこのネジを外すことで剛性を落とすセッティングも可能になっています。サーボをサスアーム間に搭載することでESCや受信機の搭載位置の自由度があがり最適な重量バランスを追求できるようになっています

Xti-WCではメインシャーシに細かい変更が加えられています。その1つはメインシャーシの形状変更です。サイドリンクが固定される部分のデザインが変わっておりバッテリーを横積みにするときこの部分にバッテリーが接します。そしてこれまで以上にピッチングダンパーの固定位置の選択肢が多くなりセッティングの自由度が向上しました。そして耐クラッシュ性の向上のためフロントボディーポストが固定される部分が強化されました。CRCのフォームバンパーを使えば問題ありませんが装着を忘れてしまってもクラッシュによるメインシャーシの破損を防ぐ効果を狙ったものです

このようにXti-WCは小変更を積み上げて完成した素晴らしい製品です。ジオメトリーは現行のXti-Altered Egoと同じですがXti-WCはこれまで以上に走り、調整箇所が多く、信頼性が向上しています

世界戦優勝車。Muchmoreのパワーソースを使用したMarcのXti-WC Xti-WCではバッテリーを横・縦どちらでも搭載できます。横置きの場合、前後どちらかに寄せることができます。ストックでは後寄り、Modでは前寄りが良いでしょう
   
6点止めされたフロントUフレームが見えます。そしてサイドリンクの部分のデザインが変わっています Marcはサーボを前側に搭載しています。これにより重量物であるESCなどを理想的な場所に搭載できました。アンテナマウントが2つ装着されています。これは路面やドライバーのフィーリングの応じてピッチングダンパーの取付位置を変えられるようにしているためです(この場合CRC3263またはCRC3296を使います)
 
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リヤ周りはXti-Altered Egoと同一です。Slider Podも健在です Marcとそのマシン。AメインドライバーMarc,Ishioka,Olly Jefferies(XRAY)の3名がCRCタイヤを使用しました

 

CRC Xti-WCは現在販売されているどのシャーシよりも軽量です。世界選手権の車検場では「CRCのシャーシだけがIFMARの最低重量730gにフィットする」との声が聞かれました。CRCのシャーシには強度重視のステンレスビスとフォームバンパーが使われていたにも関わらずです

 

Team CRC世界選手権優勝までの道のり:

2004年 アメリカ開催 Jilles Groskamp 4位 CRC Carpet Knife V 3.2R
2006年 イタリア開催 Marc Rheinard 3位 CRC Gen-X prototype (code name Plan B)
2008年 タイ開催 Hupo Honigl 3位 CRC Gen-X-BL
2010年 ドイツ開催 Jilles Groskamp 2位 CRC Gen-XL
2012年 オランダ開催 Andy Moore 2位 CRC Xti prototype – (code name Toothpick)
2014年 アメリカ開催 Marc Rheinard 1位 CRC Xti-WC prototype (code name 6B)

 

最後に:

世界選手権タイトルの獲得は大変むずかしくプロフェッショナルチームの献身的な協力無しには実現しません。今回の勝利はCRCに集ったすべてのチームメンバーの努力によって得られたものです。ワールドワイドのCRCドライバー達はシャーシやタイヤの膨大な情報をCRC Racewayのドライバー達にフィードバックしました。CRC本社スタッフのJohn Firsching とBrian Wynnはサポートドライバーのシャーシ製作とタイヤそしてスペアパーツの準備をおこないました。そして日本のワークスチームは矢野皇彦率いるスタッフ田中、石岡がシャーシ、タイヤ、ボディー、ESCそしてモータを彼らのドライバーのために準備してきました。そしてもちろん素晴らしい結果を残したMarc Rheinard、みんな本当にありがとう

 

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優勝したMarc選手、CRC代表Frank氏を真ん中に記念撮影。それを囲むMarcのメカニックThomas Pumpler氏、マッチモア代表Jihyun Jang 氏
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