Zround 最小ラップに関する話




zroundに限らずR/Cカー用のタイム計測ソフトは最小ラップの設定を持っています。今回はzroundが最小ラップをどのように扱うのかを説明します

最小ラップとは
最小ラップはタイムの誤検出を防ぐ目的で設定します。そのコース1周の最も速いタイムを少しだけ下回る値にするのが一般的です。最も速い車が1周9秒で周るなら8.5秒などにしておきます。コースをショートカットしてしまいありえないタイムで計測されてしまうのを防ぐのがよく知られている使い方です

最小ラップ以下はすべて無視してしまえばよいと考えがちですが場合によってはそれは間違いであることがあります。今回はzroundがどのように最小ラップを処理するか説明していきます

zroundにおける最小ラップの基本設定
zroundのRace managerで最小ラップを設定することができます。赤丸で囲んだ部分です。1/1000秒単位で設定できます

下の例では8.000秒に設定しています

8.000秒以下のラップが検出されるとRace Managerのコンソール欄に赤文字でメッセージが表示されます

最小ラップ8.000秒に対して2.045秒と6.791秒のラップが検出された例

それではレース中に最小ラップ機能がどのように働くのか見てみましょう。1つ目の事例は最小ラップを無視してはいけない例です

① 例としてこのようなコースを考えます。ピンクのラインが計測ラインです。最小ラップは8.000秒。周回方向は左回りとします。カーナンバー1の選手は1周目 8.100秒をマークしました
② しかし計測ラインを通過したあとにミスをしてフェンスを飛び越えてしまい、計測ラインを再び通過してしまいました(2.000秒)。そのあとはミスなく8.300秒で周回しました

このとき次のようにラップを処理する必要があります
1)LAP1:8.100秒
2)最小ラップ以下検出:2.000秒
3)LAP2:8.300秒+2.000秒=10.300秒

もし最小ラップを無視してしまうと
1)LAP1:8.100秒
2)最小ラップ以下検出:2.000秒(無視)
3)LAP2:8.300秒

となってしまいます

これを実現するためにRace managerの設定でつぎのようにしておきます。通常はこの設定にしておきましょう

「最小ラップ以下のタイムを無視しないで加算する」にチェックを入れます

2つ目の事例は特設コースでよくある例です。最小ラップを無視しなければならない例です

① カーナンバー1の選手は1周目 8.100秒をマークしました
② 普通に周回していました。しかしXの部分(計測ラインに近い)を通過したときに誤って計測されてしまった(2.000秒)。そのあとは8.300秒で周回してきた。
ドライバーには落ち度がありません

本来計測ラインはこのようなことが起こらない場所に設置するべきですがレースが始まってしまうと変更がむずかしい場合があります。設置場所が良かったとしてもトランスポンダーの電波が強すぎたり、計測ラインの感度が良い場合にこれが発生してしまうことがあります

このとき次のようにラップを処理する必要があります
1)LAP1:8.100秒
2)最小ラップ以下検出:2.000秒(無視)
3)LAP2:8.300秒

もし最小ラップを1例目のように扱ってしまうと
1)LAP1:8.100秒
2)最小ラップ以下検出:2.000秒
3)LAP2:8.300秒+2.000秒=10.300秒

となってしまいます

これを実現するためにRace managerの設定でつぎのようにしておきます

「最小ラップ以下のタイムを無視しないで加算する」のチェックを外します

ただしこの場合はフェンスを乗り越えて計測ラインを通過してしまった場合に対応できないことに注意してください。今回の事例で紹介したコースレイアウトでは下の写真の場所に計測ラインを設置するのが望ましいです。この位置ならインフィールドを走行するマシンのトランスポンダーを誤検出する可能性が低くなります

最小ラップ以下のタイムが検出されたときに音声でそれを知らせることができます。Race managerの読み上げ設定–>「最小ラップ以下を検出」にチェックを入れて下のようにセリフを入れます(%s、%tは変数でそれぞれドライバー名、タイムが入ります)

あらかじめ読み上げエンジンSAPIがインストールされている必要があります

最小ラップ以下が検出されると「最小ラップエラー 矢野 7.98秒」などとお知らせしてくれます。フリー走行中であれば最小ラップの見直しに使うこともできますし、レース中であればフェンスを乗り越えて計測ラインを通ったマシンがあったかどうかの判断に使えます