昨年度のTeam CRC Japanメンバー raziさん が今年もスロットカー「ドイツプラフィット選手権」のレポートを送ってくれました!! R/Cではないけどレーシングスピリッツは共通するところがあるので楽しく読めます。一度スロットカーをドライブしてみたくなりますね~
昨年度のレポートは こちら
Team CRC Japan 2007 レポート 番外編
Team CRC Japan 2006のメンバーとしてサポートを受けていたraziです。
昨年は関連の方々に大変お世話になりました。また私の出来の悪いレポートにお付き合い頂きありがとうございました。
この度、スロットカーのレース「DPM 2007」(ドイツプラフィット選手権Deutsche Plafit Meisterschaft)についてのレポートを掲載する機会を頂いたので作成致しました。しばらくの間お付き合い頂きます様よろしくお願い致します。
まずはこのレースの概要を簡単に説明します(昨年のレポートも参考にして頂ければと思います)。
「シグマホビー」が製造しているプラフィットというブランドの、プラモデルをボディとして使用する1/24スケールのスロットカーシャーシを使用したレースで、主催はドイツにある販売会社「H+T Motor Racing」です。
昨年と同様に主催国ドイツやスペインなどヨーロッパの複数国と日本を含む7カ国48チーム(3人1チーム)が参加する大規模なイベントです。事前のエントリーリストではポルトガルからの参加チームがあり8カ国でしたが、レース直前のリストではなくなっていてドイツ国内のチームが1チーム追加になっていました。
今回の注目としては、スペインから大量8チームが出場し特にゼッケン31はスペインでスロットカー用の計測機器やコントローラー等を販売しているメーカーの社長のご子息でスペインチャンピオン経歴の方がいてそのメーカーのワークスチームのようです。スペイン勢のこのレースへの意気込みが感じられます。
このレースはこのメーカーの計測機器を使用しています。日本は今年1チームのみの参加で少々さびしいです。私は昨年と同じ「SKR with ZinkRacing」(今年はゼッケン14)のメンバーとしてこのレースに出場しました。
今回使用した車両(クリックすると大きな画像)
今回使用した車両(シャーシ)
昨年のレポートで書くのを忘れた?!ので、ここでこのチームの名称の由来について書きます。SKRとは、元々はこのチームの一人である、S根選手のチーム名(S根建築レーシング)なのですが、このチームではSはS根、KはK藤、Rはraziと三人の名称の頭文字を意味しています。余談ですがraziとは、20年近く前にS根選手が私に付けたあだ名でラジコンのラジなんですが、今は私自身がスペルを変えてraziとして使っています。 「ZinkRacing」はK藤選手が企画販売しているスロットカー用オプションパーツ等のブランド名で、私がチーム名に入れたらと提案してこのような名称となりました。
では、レースの流れに沿ってこれから書いていきます。
9月26日(水)
チームメンバー3人で横須賀市内の焼き肉屋で打ち合わせです。
いろいろな話をしましたがその中で、「過去2年はトラブルでピットインしているが今年はピットイン無しにしたい、そうすれば優勝の可能性が高い」との話になりました。今年の車両はかなりの自信作?なので期待が膨らみます。
明日は朝早くの便で出発なので早めに就寝と思いましたが結局翌日0時ころまで眠れなっかたです。
9月27日(木)
成田空港から10時前に出発する便でフランクフルト空港に出発しました。フランクフルトは雨で到着予定時刻より1時間程度遅れましたが無事に到着しました。ドイツに行くのは3年目ですが初めての雨です。
さきほど書くのを忘れたのでここで書きますが、日本からはチームメンバー3人とプラフィットを輸出販売している「ビーバーコーポレーション」の社長と社員の方の5名で向かいました。
昨年と同様に空港まで主催者の奥さん等が迎えに来ていただき、その方々の車でフランクフルトから車で30分くらいにある「Darmstadt」市内のホテルまで送っていただきました。
ホテルについた後、同じ市内にあるラジコン屋に買い物に行きました。私はLRP のアンプを買おうとしたのですが、アンプの箱に貼ってある値段が約240ユーロで日本での販売価格とあまり変わらないので買うのは止めました。そこではアルコール系のクリーナーを買いました。
その後夕食を取り私は早めに寝ました。ビールの飲みすぎで酔っていたのもありますが・・・。
9月28日(金)
ホテルからタクシーで会場に向かい7時45分頃に到着です。今年のレース開催場所「Darmstadt」市の隣?の「Erzhausen」市?内の公民館みたいな場所で、ホールの広さは昨年までの会場より若干狭いですが、参加全チーム分のピットは確保され、使用する特設コースは昨年と同じレイアウトです。
コース左側から撮影した写真です。ピットは右側(写真では左側)奥です。
まずは受付しその後は準備にとりかかります。
今日は練習走行と車検、そして予選とかなりハードなスケジュールです。
練習走行ですが、コースは8レーンなので8チームを1グループとして各グループ単位で練習走行を行います。練習走行はゼッケンの老番グループから開始します。走行する順番(ゼッケンも)は基本的には昨年の順位から決まっていて私たちのチームは昨年5位なので最終組です。
練習走行1回目
10時30分から私たちのチームを含むゼッケン11~18の練習走行1回目が始まりました。
私たちが走行する前に5グループが走行していたので路面グリップは程々ですが、実際のレース路面に比べればまだまだ軽い路面です。私が担当するレーンは1、2、3レーンなのでこのレーンを走行しました。他のメンバーもそれぞれ担当するレーンで走行しました。
1回目の練習では各自が製作した車両でギヤ比を4種類確認しました。私は昨年使用したギヤ比の上下2種類を比較しましたが高い(長い)ギヤ比がよさそうに感じました。
タイム的には7.5秒台と全体の中でベストに近いタイムです。
その他で同じようなタイムが出ていたのは数チームで、特にゼッケン31は予想通りかなり速いです。
練習走行2回目
私はさらに高いギヤ比の確認とK藤選手が製作したシャーシをテストしました。今回は3人それぞれが製作したシャーシで走行し、一番調子が良いシャーシにK藤選手が製作したレース用ボディを組み合わせる予定になっています。私が製作したシャーシは重量配分が一番後ろより(と言っても昨年の反省から昨年のシャーシよりは前側荷重です)になっています。私のシャーシよりK藤選手のシャーシが速かったです。
また、今回支給される物と同じタイヤをテストしました。このタイヤは主催者より練習用に1セット支給されました。日本でテストしていたタイヤ(同一商品)より若干硬く感じましたが、使用した感じではほとんど変わらないので安心しました。さらにK藤選手はガイド高についても2種類比較しました。
路面のグリップはさらに上がりペースは上がっています。タイムは7秒4台が出ましたが他のチームではゼッケン31やドイツの数チームが7秒3台で出ていました。
練習走行3回目
今までのテスト結果よりギヤ比は決定しました。後はシャーシの仕様を決める必要があります。ここではK藤選手のシャーシとS根選手のシャーシをレースで使用するギヤ比に合わせて比較します。
3人で走行させて相談した結果、 K藤選手が製作したシャーシを使用する事になりました。又、ガイド高は若干上げることになりました。これはコースのシールド線の状態や路面の凹凸を考慮したからです。
最後の練習なので、それなりに攻めた走りをして何回かコースアウトをしました。私がコースアウトした時かわからないですが、クラッシュの影響でレース用ボディ右側のサイドウインドウが外れてしまいました。外れた部品は回収出来なかったので予備のボディから部品を外して取り付けました。
タイム的には7秒3後半と昨年このチームが予選で記録した自己ベストを更新できました。ただ、他の数チームも7秒3台で、ゼッケン31は7秒3台の前半まで記録しているように見えました。
いままでのタイムの書き方があいまいなのは、練習走行の結果はプリントアウトされない為、計測システムに表示されているタイムを目視で確認するのみで全周回のタイムまでは確認できていないからです。
放送でタイムのアナウンスはしていたようですがドイツ語でわからなかったですm(__)m
車検
3回の練習走行終了後、各グループ毎に主催者に呼ばれて支給モーターと支給タイヤをシャーシに組み車検に出します。 昨年と同様に車検員の前で制限時間30分でモーターやリヤタイヤを取り付け車検に出さなければなりません。リヤタイヤは接着整形してありますが使用する直径より大きいので取り付け前に削る必要がありますがその時間も含まれます。車検員に車両を渡すと車検及び車両保管になりその後は走行時間内以外のメンテナンスや修理は出来なくなります。
今回はリヤウイングの大きさが車検に引っかかりました。リヤウイングはプラモデルのキットについている物からドイツ等で市販している特定の軽量ウイングに変更出来るのですが、カットラインがあいまいのように見え、事前のテストでも小さめが良かったのでキット純正のウイング程度の大きさにしてあったのですが、それはカットラインと違うと判断されました。ただしこれは想定してあったのでスペアのウイングに交換して車検は通過となりました。
練習走行4回目
支給モーターと支給タイヤで走行する練習走行です。一番気になるのはモーターですが、当たりとは言えない程度です。ストレートエンドでの伸びは良いのですが中間加速はいまひとつです。またショートブレーキの効きが悪く各自ブレーキ調整用抵抗値の変更が必要でした。
S根選手(4、5レーン)とK藤選手(6、7、8レーン)が走行し私は1コースでの走行後、2レーンと3レーンの走行を止めてメンテナンスの時間となりました。この練習走行中に車両を壊した場合等、練習走行時間内に修理やメンテナンスが出来ないとピットスタートになるのでこのようにしました。練習時間終了後は再度主催者側で車両保管となりました。
モーターはいまひとつですが、車の動きは良いので予選やレースに期待が持てます。
予選
予選は1チーム持ち1分間で1台づつ一人のドライバーが走行し1周のベストタイムを競うもので、走行するレーンは主催者がくじ引きで指定した特定のレーンを全チームが走行します。
予選結果で決勝走行時の組み合わせを決めます。1~8位が最終組と言うように組み合わせを決めますが、メイン別決勝ではないので極端な事を言えば予選48位でも優勝できます。とは言っても決勝は予選下位のグループから実施するので後に走行するグループにいたほうが路面のグリップがあがり、またコースアウトする車両も少なくなる傾向なので基本的にはタイムは上がるので出来る限り予選上位を狙います。
また、昨年はこのチーム(3コースだったので私が担当しました)がポールポジションだったので2年連続でPPとの期待も高まります。
くじ引きの結果今回の使用レーンは8レーンになりました。8レーンはK藤選手の担当なのでK藤選手がタイムアタックを行ないます。
ゼッケン14なので後ろから4番目にアタックです。持ち時間内ではメンテナンス可能なのでオフィシャルが車両をコースにおかれスタートの合図後すぐに車両を止め(止める場所も指定されています)、昨年と同様にブレードのメンテ等を行ないコースに復帰しアタックを開始します。そして出たタイムは7秒5803!!!このチームがタイムアタックするまでのトップは7秒7台だったので、このタイムが出たときの場内のどよめきは凄かったです。その後このチームのタイムを更新するチームはなく、2年連続のPPが確定しました!!
予選2位になったゼッケン13のチームが7秒6471なので圧倒的なタイムです。
車両の状態も良かったし、8コースの走行は全チーム参加者の中でK藤選手が一番速いと私は感じているので、それが予選結果につながったと思います。
今年も予選および決勝の組み合わせ発表が終わったのは翌日0時を回っていました。ホテルに帰るのにタクシーを呼んだのですが、これが30分以上来なくてさらに帰るのが遅くなりました。
ホテルについて3人でPP記念の乾杯をしたあと私は3時頃に寝ました。
9月29日(土)
決勝
決勝は最終組なので時間に余裕があるのでゆっくり休んでから出発し13時前に会場に到着しました。
ここで昨年のレポートと重複しますが決勝レースの内容について書きます。決勝は1から8の各レーンで12分を1ヒートとして各レーン1回づつレースして合計96分の合計周回数で競います。12分経つと走行電源が自動的に切れて、コースマーシャルやオフィシャルが車両が止まった場所でレーンチェンジを行い、その時にマーカー(走行しているレーンを示すシール)を張替え再度スタートと言うように進めます。なので、スタートラインにならんでのスタートは一番最初のヒートのみになります。各ヒートスタート時の電源はスタートするときに入ります。そして8ヒート終了後最後に止まった地点をオフィシャルが確認し端数を合計周回数にプラスします。
最終組(6レース目)の前の5レースは、最終組のチームがコースマーシャルを行います。私は3ヒート分マーシャルを行いS根選手に代わってもらい、スタートに向けて精神的な準備をします。
PPは1レーンからのスタートなので私が最初に走行します。
スロットカーレースのレーンチェンジは通常8レーンの場合、1→3→5→7→8→6→4→2となり、このレースも同様です。また、このレースではPPは1レーンスタート、予選2位は3レーンスタートとなり、予選8位は2レーンスタートです。
5レース終了時点でのトップはゼッケン31の737.35周で、昨年の優勝周回数735.18を上回っています。優勝するには737.35周を上回らないといけません。
決勝直前の練習走行(2分)が始まりました。開始と同時に車両をピットに引き上げタイヤやモーター、ブレードのメンテを行い、数周してスタートライン前で停止して練習走行時間が終了するのを待ちます。車両に問題点はなく、路面はかなりグリップ上がっていますがマッチングは良好です。
さあ、いよいよ決勝レーススタートです。昨年はスタート直後にペースが上がらずあせって1レーンだけで3回コースアウトした思い出があるので、周りの車は見ないで若干控えめのペースで走ることにしました。
7秒7台のペースで走行し一度だけコースアウトしましたが、他車両やフェンスとの衝突なく問題なく終了。
結果は93周ですでに昨年の自己ベスト周回数を上回っています。といってもそのヒート1位は3レーンの95周でした。
続いてのヒートは3レーンなので私が走行。このヒートでは7秒6前後で周回して95周でこのヒート1位になりました。コースアウトは一度も無しで、このチームのファステストラップ7秒5167を記録しました。このファステストラップはチーム毎の記録としては4番目になりました。
3ヒート目は5レーンなのでS根選手が走行。若干ペースが上がらずコースアウトもありこのヒートは90周でした。
4ヒート目は7レーンでK藤選手が走行。このヒートから3ヒート続けてK藤選手が走行します。
すばらしいレースで93周しました。参加チーム全体で7レーンで93周したのは我々のチームだけです。
5ヒート目は8レーン。このコースで一番タイムが出ずらいのが8レーンで91周でした。
6ヒート目は6レーン。ここでもすばらしいレースで94周です。6レーンで94周したのは全体で2チームだけです。
7ヒート目は4レーンでS根選手が走行。3ヒート目より安定して走行し本人の宣言どおり92周です。
さて、ここまでの最終組のトップはゼッケン28。このチームとは4周差ですが、我々のチームは最終ヒートは2レーンで周回を稼げる可能性が高く、相手は7レーンなので追いつく可能性はある状態です。
また、ゼッケン13も我々とほぼ同じ周回数で最終ヒートは1レーンなので要注意です。
最終8ヒートがスタートです。そしてスタート直後にレース中断です。このレースではかならずレース中に1回レースを止めて各車両の車検をします。外観と最低地上高(リヤアクスル下で1mm以上)をチェックします。我々のチームはOKでした。
そしてレース再開です。再開直後に一度コースアウトしました。この時も問題なくすぐに復帰できました。
それからはペースを上げてプッシュします。しかしモーターが若干パワーダウンしている為か思ったほど
ペースがあがりません。そして94周でこのヒート1位でレース終了となりました。
ゼッケン28は無難に91周して優勝、残念ながら逆転なりませんでした。1位の周回数は743.12周。我々は742.19周。3位はゼッケン13で739.12周。トップと0.93周の僅差で2位となりました!
決勝結果(上位のみ表示・・・なぜか我々のチーム名が間違ってます(-_-;))
自分の反省点としては、やはり2回コースアウトした事と1ヒート目のペースをもっと上げるべきだったの
か・・・になると思います。
反省点はありますが、全体として考えればこの結果は誇れる内容と考えています。
それに、このチームが昨年記録したPPのタイムは今回の決勝でも抜かれなかったので、我々のチームの記録として来年まで残ります(^_^)v
レースが終わった後は結果発表、そして主催者が準備したビッフェを楽しみました。今回は二組の芸人さんを呼んでのパフォーマンスがあり、ドイツの笑いとはこうなんだ・・・なんて発見もありました。
ビッフェをほどほどに切り上げホテルに戻ってから3人で2位記念の乾杯をしてから睡眠しました。
9月30日(日)
昨年と同様にこの日の夜の便で帰るのでホテルに13時頃までいて、その後はホテル近くの店で食事したあと再度ホテルで少し休憩した後にタクシーでフランクフルト空港に向かいました。
旅客機の出発が座席調整で若干遅れましたが予定通り10月1日(月)に成田へ到着し帰宅出来ました。
最後にいろいろと
練習走行中の私(赤い服はチームのユニフォーム)
2位のトロフィー
練習走行中に主催者側からK藤選手のコントローラーからノイズが出ているから使用するな、他2名のコントローラーも使えないかもなんて話があり(3人とのほぼ同じ仕様のコントローラーで3台とも昇圧するような回路では無いのに・・・)ピンチな状況があったりしましたが全体的には順調でした(再チェックで問題無いと判明) 。
練習走行も決勝レース中もコースアウトした際のダメージや、逆にコースアウトした車両とのクラッシュはほとんど無く、レース中のピットインも無かったです。
K藤選手が言ってましたが14はK藤選手のラッキーナンバーなんだそうで、本当にそんなジンクスを感じるレースでした。
来年も参加するかはまだ決めていません。ただ、自分としては、来年も日本チームが1チーム以上参加した方が今後の日本国内のスロットカーにとっても良い事と考えています。DPMに興味を持たれた方々は一度下記のURLのWebを見ていただければと思います。
http://www.plafit.de/ (DPM主催者のWeb)
http://www1.ttcn.ne.jp/~slotkudoh/ (ZinkRacingのWeb)
参加して毎年感じますがDPM参加者は真剣にスロットカーレースをしています。日本から出場するからには(プラフィットは日本製です)真剣にレースする方々に行って頂きたいと思う私です。
日本でも近い将来このようなレース(名目でなく中身が)が開催出来るようになる事を期待します。
皆様このレポートに目を通していただきありがとうございました。
そして、今回のレポートを掲載して頂いた「kimihiko-yano.net」に感謝いたします。
以上 razi(鈴木英明)